持続可能な地域社会づくりを目指した高等教育機関の連携・協働に向けて

公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソーシアム 理事長
静岡大学学長 日詰 一幸

現在、我が国は新型コロナウィルス感染症の流行という未曽有の事態に直面しながら、人口減少と少子高齢社会の到来、AIをはじめとする情報技術の革新、グローバル化の進展など、社会経済の急激な変化に伴う数々の課題への対応に迫られております。

このような中、大学等の高等教育機関には、単なる教育・研究にとどまらず、地域が直面する課題に積極的に関与し、持続可能な社会の発展を支える「知の拠点」としての役割が求められております。また、行政や産業界と連携し、地域の将来を担う優秀な人材を育成していくことが期待されています。

静岡県内の各地域には、それぞれ特色のある国公私立大学や高等専門学校などの高等教育機関が開設されております。平成15年12月には、これらの大学等を構成員とする大学ネットワークが設置され、教育力・研究力の向上に向けた連携が進められてきました。そして、平成26年3月には、大学と地域との連携を強化し、大学の持つ知的資源を積極的かつ効果的に地域へ還元することを目的に、「ふじのくに地域・大学コンソーシアム」が設立されました。更に平成27年4月には公益社団法人化され、組織の強化が図られたところです。

ふじのくに地域・大学コンソーシアムでは、平成31年3月に策定された今後5年間の活動方針を示した中期計画に基づき、現在7本の事業を中心とした事業の展開に取り組んでいます。具体的には、教育連携(県内の地域資源等について学ぶ短期集中単位互換授業や高校と大学が連携して教育の充実を図る高大連携事業等)、地域貢献(大学間連携による市民講座の開催、地域課題を解決するための県内大学のゼミ活動に対する支援等)、国際交流(留学生間の交流や支援のための取組等)、共同研究などが挙げられます。

ふじのくに地域・大学コンソーシアムでは、今後も地域社会からのニーズを踏まえ、大学間や産業界を含めた地域と大学との連携・協働を促進し、活力ある静岡県の発展に貢献してまいりたいと考えております。皆様方の幅広い御理解と御支援・御協力を賜りますようお願いいたします。